奈良の名刹・興福寺の中金堂が、このたび無事落慶の日を迎えました。
10月7日から5日間にわたって行われた法要は、毎回3000人のひとびとを集め、11日に結願法要が開催されました。最終日はあいにくの雨模様でしたが、法要が始まる寸前に雨があがり、滞りなく行事は執行されました。
創建以来1300年の歴史を刻む興福寺の中金堂は、火災で七度も焼け落ちましたが、そのたびに不死鳥のように創建当初の姿に復元されてきました。しかし、慶長年間の最後の焼失以来300年のあいだ、中心伽藍は仮堂の状態が続き、明治初年の神仏分離で境内の多くが公園や県庁施設となってしまいました。
そのことに心を傷めておられた多川俊映・現貫首は、1989年の就任以来「天平の文化空間の再構成」を合い言葉に中金堂再建に向けて動き始め、2010年には立柱式を行い、このたびの落慶となりました。
再建された中金堂は、昔からそこにあったかのようにすでに周りの風景に溶け込み、奈良の新しいシンボルが誕生しました。興福寺の復興事業は、今後、南大門、中門、回廊などと続きますが、これからも微力ながらお手伝いをしていきたいと思います。