○○さま
お手紙を拝見しました。
私自身は、ニュース素材を取材されたにすぎないあなたに対して、特別な感情はありませんから、ご安心ください。
ただ、私のウエブに掲示している総括的回答にも書いておりますが、今回の騒ぎが、芸術表現の問題を超えた、社会的問題であるという思いは、ますますつよくなっています。
今回のことで私が一番感じたことは、現実社会が実体のわからないネット社会とどうつき合うかということです。
今度の騒ぎの渦の中で、現状のネット社会は、仮想現実にすぎないことがよくわかりました。ひとつのサークルが50人なのか10000人なのかもわかりませんし、ネットアンケートなども、発信者を特定できるわけでもありませんし、大量クリックの分析などもどのように行われているのでしょう。意見の数やアンケート結果に出てくるのは客観性を装った虚ろな数字だけです。
そうしたなかに現れた「仮想現実」を、マスコミが責任を持って精査することなく現実社会に持ち込んでしまったことがもっとも怖いことだと思います。
私のウエブサイトでは、地域別ヒット数のリサーチを続けてきましたが、この騒ぎ以降、奈良県は一度も10位以内になったことはありません。一時間に数千件といういちばん賑やかだった日でさえ宮城県の次でした。人口比偏差を考えても、この件に関して奈良の関心は低いように感じます。しかし、この数字(データ)ですら、なんの判断の根拠(インテリジェンス)にもなりません。
今回の件を、こうした観点から取り上げたマスコミが皆無であったことの方が、よほど大きな社会問題だと思います。ある種の目的をもった団体や海外の謀略機関に対して、この国はとてつもなく脆いと思います。
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