| 楽器製作における木の文化について |
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茂木眞理子(もぎまりこ)/
ソルフェージュ研究&作・編曲家
東京藝術大学音楽学部音楽学講座非常勤講師
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オーケストラの演奏を聴くとき、金管楽器以外の殆どの楽器が、木の恩恵を被っていることに気づく。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなどの弦楽器属は、16世紀中頃に楽器が現在の形に完成し、ヨーロッパのクラシック音楽で中心的地位を確立した。楽器の形に木の幹から木を切り取り、表板と裏板の2枚の板を木目が横に並ぶように張り合わせるのが一般的であり、表板にはヨーロッパトウヒ(ドイツトウヒ・唐檜)やマツなどの柔らかい木、裏板にはカエデなどの硬い木材を用いる。楽器の胴の縁に沿って溝を彫り、パーフリングという木の帯を溝にはめ込む。これは木が割れないようにという役割を持った飾りでもある。楽器の側面でもある横板はカエデまたはシカモア(カエデ属)で作り、ネックもカエデの木片で作られる。指板は黒檀またはローズウッドで、弦の糸巻きにも黒檀が用いられる。楽器の中で最も高価なストラディバリウスの逸品は今から300年前に製作されたものである。最高の木とニスを最高の技術によって作られたたと言われているが、これらの芸術品は世界遺産とも言えるように思える。
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ヴァイオリン
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ヨーロッパトウヒ(ドイツトウヒ)
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リコーダー
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木管楽器とは木材を材料として作られる管楽器のことであるが、音を出す仕組みが、リコーダーのように笛の形のものとリードを振動させて音を出す楽器に分けられる。リコーダーにはいろいろな形のものが作られているが、カエデ、グラナディラ、サクラなどが用いられている。高級品では黒檀の管に部品が象牙で作られているようなものもある。オーボエやクラリネットは黒檀で作られているが、それぞれアシ(葦)で作られたリードと呼ばれる薄い板のようなものを楽器の歌口に付けてこれを振動させて音を出す。
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フルートは木管楽器の筆頭ではあるが、現在では銀製や金製ものが多く用いられている。これは楽器の改良により演奏が容易になり音が鮮明になったことからであるが、木製のフラウト・トラヴェルソも愛好家には根強い人気がある。
因みに日本音楽(邦楽)に用いられる管楽器は全てが木管である。尺八、篳篥(ひちりき)、笙は竹製、能管は漆で塗り固めて外側を樺(サクラの樹皮)で巻く。祭囃子や里神楽、獅子舞、歌舞伎の下座音楽にまで広く用いられる篠笛は女竹の節の無い部分の両端に藤か樺を巻いて、黒漆で塗り固めて作られる。 |
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ピアノの内部
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現在最も身近な楽器であるピアノも木で作られている。本体の木枠にはカエデ、ブナ、ケヤキなどが用いられ、音に直接影響する響板にはスプルース材(前述の唐檜)の柾目板が使われている。国産の材料(日本の唐檜属)では蝦夷松(アカエゾマツ)が多く、鍵盤に以前は象牙と黒檀が用いられていたが、現在では人工象牙や人工黒檀が開発された。外装にはマホガニー、ウォルナット、ナラ、ブナなども用いられる。
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コンサートの会場も「木のホール」が人気の昨今である。「檜舞台」とはよく言ったものである。
ホールの壁や椅子が木で造られることが多くなり、木の柔らかさや温もりが好まれている。
電気を使った音楽も多くなった現代であるが、木による音の芸術を大切に考え続けたいと思う。
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茂木眞理子(もぎまりこ)
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ソルフェージュ研究&作・編曲家
東京藝術大学音楽学部音楽学講座非常勤講師
1953年大阪市阿倍野区に生まれ, 4歳よりピアノを始める.
東京藝術大学音楽学部附属音楽高校を経て,同大学器楽科を卒業.
同大学大学院音楽学(ソルフェージュ専攻)修士課程修了.
オペラシアター「こんにゃく座」,東宝ミュージカル,劇団青年座やテアトルエコー等、舞台関係の音楽監督,作編曲,ピアニストなどの仕事を多く手がける.
1981年〜東京藝術大学音楽学部ソルフェージュ科非常勤講師となり現在に至る.
2002年〜同大学音楽学部の新学科「音楽環境創造科」の非常勤講師も兼務.
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