これは「恵比寿童子」、「えべっさん」ですね。大きな鯛を釣っています。こんな童子の作品を30年以上造っているわけです。
このように、私は日本的なテーマ、日本人の精神世界や仏教的な世界観を基礎に作品を造ってきました。それは、若いときに仏教の研究や仏像修復を経験したことに強く影響を受けているのだと思います。
しかし、講演会などで「私は彫刻家です」とか、「東京藝大で仏像の古典技法やら修復を教えていますよ」と自己紹介しても、お客さまの反応がいまひとつ鈍いのです。しかし「奈良のせんとくんを造りました」と紹介すると、皆さん、「おおっ、そうですか!」というふうに急に食いつきがよくなります。嬉しいような寂しいような複雑な心境なのですけれども・・・。 |