大型の作品は直接運送会社の倉庫に運ばれましたが、所蔵家のみなさんからお預かりした木彫の小品は検品のためいったん実行委員長である小林画廊に集められました。私はその場に立ち会えませんでしたが、そのときの大変さは充分に想像がつきます。
立体作品は、見せ方がとても重要です。私の工房のスタッフ5名や鋳造会社のスタッフが展示作業のためにそれぞれ自費で渡米し現地入りしてくれました。
6月17日、われわれは運送会社が手配した4人の現地スタッフとともに山のような木箱をつぎつぎに開いていきました。まずメインホールの「蜘蛛のいと」や大きなブロンズ作品の設置場所を決めスタッフは分散して作品を並べていきました。
国沢氏は、スパイダーマンと化して高所作業用のリフトを操り高さ6メートルの天井裏にもぐりこんで蜘蛛の巣を張る段取りを始めました。ふだんはアーティストをしているという米国のスタッフもカタコト英語のわれわれとともにきわめててきぱきと作業を進めてくれました。
梱包が解かれ作品の全貌が徐々に現われると、美術館のオルセン館長やマネージャーのヤーウッド氏の目の色が変わっているのがわかりました。もっとも彼等はもとから青い目をしていますが。木彫作品の展示を始め三日目にはほぼ作業を終えるという手際のよさでした。展示スタッフの熱心な働きぶりと見事なチームワークは美術館側にたいへん好感を与えたようで、それ以降彼等に対する態度が親しみのこもった温かいものになったことはとても嬉しいことでした。
|