大黒天が、もともとはインドの神であり、仏教に取り入れられて天部衆になったことはよく知られたことです。七福神の「七福」は、「仁王護国般若波羅密経」にある「人間界の南の国々に、七つの災難があった。この災難を取り除くために一切国王が般若波羅密を講読したところ、直ちに七難は消滅し七福が生じた。ひとびとは安楽にくらし、帝王はお喜びになった。」との一節に由来するといわれます。「七福神」の一団はわが国固有のものです。室町末期から桃山にかけて大阪・京都の町衆による貨幣経済の発展とともに成立したと考えられます。ただ現在知られている七福神のメンバーが固定し広くひとびとに信仰されたのは江戸時代になってからのことです。
さて、古代インドの世界観では、この世のすべての現象・事象は「生成」「変化」「消滅」を永遠に繰り返していると考えられ、おのおのを擬人化した神格を以て表現しました。すなわち生成の神としてブラーフマン、変化の神としてヴィシュヌ、消滅あるいは死の神としてシヴァを想定しました。よりよく生まれたい、よりよく生活したい、より安らかに死んでいきたい、これらの願いがそれぞれの神への信仰に繋がっていきました。シヴァ神の別名を「マハーカーラ(摩訶迦羅)」といいます。 |