WELCOME TO THE WORLD OF YABUUCHI Satoshi・sculptor
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「ムーブ」との対話 |
〜2008.4.28 3:41pm〜 お世話になります。 番組で平城遷都1300年祭マスコット「せんとくん」について放送後、たくさんの疑問、質問が視聴者の方々から送られてきました。 Q1.籔内さんの他の童子作品と奈良のせんとくんはなぜそこまで、似ているのでしょうか? Q2.奈良のせんとくんが発表された時、すぐに籔内さんの作品だとわかった方はたくさんいるようです。何がそこまで特徴的なのでしょうか? Q3.奈良のせんとくんはやはり他の童子作品に角を生やしただけのものなのでしょうか? 作者である籔内さんのご回答をお教えください。
〜2008.4.29 0:58pm〜 ゆうべは、長い時間お話しをさせていただきありがとうございました。 また、ウエブに掲載した私宛の批判的投稿とそれらへの回答などを添付してきます。なお、これらを番組内で無断で使用されることはお断り致します。あらためて、批判されている方々の意見と私の考えを、読み比べてみて下さい。 籔内佐斗司 〜「ムーブ」制作関係者への手紙〜 朝日放送「ムーブ!」制作関係者のみなさまへ 番組スタッフの後藤晃伸さんから、「せんとくん」に関する視聴者からの質問や疑問について回答するようメールを頂きました。 私は東京に住んでいるためにみなさんの番組を見たことはありませんが、大阪の友人や知人から、お見舞いのメールや電話をたびたびいただいていましたので、批判的な取り上げ方をしている番組であることは感じていました。そしていまもまだそういう趣旨の番組を作ろうとされていることに、とても残念な思いがしています。私の故郷である大阪のテレビ局から、このようなことをされていることをとても悲しく感じています。 後藤さんにも申しあげましたが、私はテレビ画面のなかで暮らしている「業界の人間」ではなく「一般人」です。そしてアーティストとして真剣に生きている人間です。無邪気な社会ネタとして面白おかしく取り上げて番組の主体性を出そうとするワイドショーとはいえ、その点での良識ある配慮はなされるべきだと思います。 2008年4月29日 後藤さんの質問へのご回答) Q1.籔内さんの他の童子作品と奈良のせんとくんはなぜそこまで、似ているのでしょうか? 「なぜそこまで」と「何がそこまで」と繰り返し強調されている点に、質問をされる方のお気持ちがよく表れているようで興味深いところです。 私のウエブの「総括的回答」のなかで、私は以下のように述べています。 また私は、このコンペにあたり、自治体が主催する絵画や彫刻、建築のコンペやコンクールと同じく、ひとりのアーティストとして参加しましたから、その成果物に作家としての個性が強く表れていることは当然のことであり、またそうでなければ私が参加する意味もないと考えていました。
「生やしただけ」といういいまわしに、すでにこの質問者が客観的立場にないことがよく顕れていると思います。 「童子作品に角を生やしただけのもの」ととらえるか「ひとめで奈良のキャラクターとわかる1300年祭にふさわしい童子」ととらえるかも、受け取るひとのこころ次第です。 白亳と鹿の角の取り合わせについて、批判があることは存じています。 また馬頭観音という観音さまは、頭上に馬の首が生えています。牛頭天王は、牛の角が生えています。象の頭をしたふたりの菩薩が抱き合っている仏像もあります。そのほか、チベット仏教や密教にはびっくりするような「ほとけさま」がいくらでもいらっしゃいます。大乗仏教というのは、ありとあらゆる場所に、相手に応じてさまざまな姿でほとけが現れることを説いています。そして日本人の仏教も、寛容であり融和的であり、融通無碍であることを目指してきたわけです。 〜2008.5.1.10:42am〜 長文で失礼致します。 先般以来、ご多忙にも関わりませず、 籔内様と後藤とのやりとりを拝見し、後藤の質問の拙さから、図らずも籔内様に与えてしまった悪印象につきましては、極めてもっともなものだと認識いたしました。 籔内様は東京にご在住とのことで、私どもの番組をご覧になったことがないとのことですが、「ムーブ!」は、番組スタート以来、関西地域に留まらず、国政の行方についても真剣に論じ、建設的な提案にまで昇華させる番組作りを心がけてまいりました。ともすればタブーとして目を背けがちな事柄につきましても、真正面から取り組んでまいりました。 仰せの通り籔内さんは「一般人」であり、アーチストとして真剣に生きていらっしゃることは理解しておりますが、私達が情報発信をした番組が、世に出た瞬間から激しい評価の渦に巻き込まれるように、公式なものとして世に発表され、かつ、市民の貴重な税金から少なくない報酬をお受けになった以上は、一定程度「公」の存在になるのは、致し方ないことではないかと存じます。 今回の「せんとくん」につきましては、発注者である奈良県が、籔内様に依頼された段階で、籔内様の「作風」を含んだキャラクターが出てくることを予想していたということも否定いたしません。そして、それをイベントのマスコットとして採用した結果、知名度の低かった1300年祭を、14億円もの経済効果をもってPRできたということも、動かぬ事実です。 しかしそれはあくまで結果論であり、県が意図したものではないと思います。(意図したものだとすれば、すごいプロデュース力ですが・・・) 反対を訴えるみなさんの中には、マスコットの外見だけでなく、選定プロセスの不透明さを指摘する声があることもご存知の通りです。発注はどのように行われたのか、どうして一般公募しなかったのか。他に誰のどんな作品が応募されたのか。うまくやれば、今回のように皮肉なPRではなく、もっと前向きな評価をえられたかもしれないと考えられますし、1000万円のお金が使われた以上、その説明責任はあるはずなのですが、納得できる説明はまだありません。 今回取材した内容につきましては、籔内さんのご意見も踏まえ、もう少し時間をかけて情報収集をしたいと存じます。 ******************************************* ご丁寧なメールを拝見しました。 〜朝日放送「ムーブ」木戸崇之さんへの手紙〜 メールを拝見しました。 あなたがメールに書かれている「悪印象」は、後藤さんの対応だけに起因するわけではありません。あなたたちの番組を見た在阪の友人、知人からの意見や、一部ネット上に転載されている番組内のコメントから判断して、「ちょっとちゃいまっせ」と感じたわけです。 私は、「複数の広告代理店による作家の指名制コンペ」という諸条件を了解した上で参加しました。これは私以外にこのコンペに参加した複数のアーティストや三つの広告代理店すべてにいえることだと思います。今のところ、個人名が出ているのが私だけですので、批判の矛先が私ひとりに集中していますが、選外の方やこのコンペに関係したすべてのひとたちの了解事項だったわけですし、それぞれに報酬を受け取っておられるはずです。 「公式なものとして世に発表され、かつ、市民の貴重な税金から少なくない報酬をお受けになった以上は、一定程度『公』の存在になるのは、致し方ないことではないかと存じます。」とのご意見については、それを充分に理解していますので、30件以上のマスコミ取材を受け、私のウエブを通じて寄せられた800通に昇る賛否のご意見のほとんどに返信し、批判メールへの回答や公式な総括回答をウエブ上で公開してきました。こうしたことをマスコミュニケーションの手段を持たない私がたったひとりで無報酬で行っていることについて、「公」の存在としての「一定程度」の役目を果たしてきたこととして、どうかご理解いただきたいと思います。 「少なくない報酬金額」の妥当性については、著作権使用料の全面譲渡のほかに、キャラクター発表のあと、当初の諸条件に従って12パターン以上のバリエーションを作成したり、協会が行うキャラクターの事業展開について協力を行っている現在と今後の労力を考慮すれば、決して多すぎる金額という認識は持っていません。もちろん、それらは納得づくのことですから、楽しくお手伝いさせて頂いています。 「発注はどのように行われたのか、どうして一般公募しなかったのか。他に誰のどんな作品が応募されたのか。うまくやれば、今回のように皮肉なPRではなく、もっと前向きな評価をえられたかもしれないと考えられますし、1000万円のお金が使われた以上、その説明責任はあるはずなのですが、納得できる説明はまだありません。」というご意見については、協会のホームページで回答が出されていたと思いますし、記者会見でも説明があったと記憶しています。 木戸さんがおっしゃっているような「その部分において、籔内さんは被害者に違いありませんが、汚名を晴らすべく、是非とも奈良県に働きかけていただければ幸いに存じます。」とのご意見については、汚名を晴らすべきは着せた相手に対して働きかけることであって、その相手は協会ではありません。したがって批判的なメールには汚名を晴らすべく地道に返信を続けているわけですし、木戸さんをはじめマスコミのみなさんにもご理解をいただきたく、このようにお手紙を書いているわけです。おわかりいただけますか? みなさんの番組の姿勢は理解しましたし、私も少なからぬ税金を納めている者として、公金の使途を明確にしようとされるみなさんの努力は大いに結構なことと思います。ただ、テレビ番組の影響の大きさを考え、番組制作者には公正な取材と慎重な判断を、出演者には冷静な言動と重い責任が要求されると思います。 もちろん私のキャラクターに一部のひとが嫌悪感を覚えたことや、県の対応にも不手際があったらしいことも聞いていますが、そうしたことの象徴として「せんとくん」がやり玉に挙げられ、その作者の表現活動にまでネガティブな話題を拡げようとされることに、いささか危機感を抱いていることをお伝えします。 「イベントやクライアントの『個性』と芸術家の『作風』は、どのように共存できるのかということを議論し、そのあり方を理解する一助にするべく、コーナーを企画いたしました。」という企画意図ですが、たいへん知的で文化的テーマであり、小さなコーナーでコメンテーターさんが「議論」して有為な結論が出る問題ではないと思います。もしもみなさんが、この企画意図に則って、バランスの取れた番組として本気で取り上げようとなさっているのであれば、たくさんの専門家の意見を時間をかけて聞くべきであり、そうであるなら私もご協力させて頂くことは一向やぶさかではありません。
ご返信ありがとうございました。 前回いただいたものも、今回いただいたものも、視聴者から頂戴した疑問のメールは、ペンネームは付けられているものの、私どもには名前や連絡先のわかるものとなっています。 ネット上でのみ横暴になったり、匿名で様々なところに抗議するという、幼稚な日本人の増加は、私どもも憂いをもって見ております。 籔内さんの様々な取材に対する対応や、一般市民からのあらぬ中傷への紳士的な対応につきましては、尊敬の気持ちをもって拝見させていただいております。 ただ、「反骨精神を笑いのオブラートで包み込みつつ、ちくりとした「棘」を忘れない浪速スノッブの矜持」や「げんこつふりあげたり、刀を振りかざしたりすんのは、大阪人には似合わんのとちゃいますか?」というご指摘は、いささか、大阪人や大阪のテレビ番組に対する先入観や偏見が過ぎたもので、私達が日々目指している新しい展開とは相容れないものと感じます。 籔内さんは議会制民主主義にも言及されていますが、今の日本では議会制民主主義が十分に機能しているとは思えないと、私たちは日々の取材の中から感じているところでもあり、それを補完するための指摘を続けていくことも、放送の使命であると思っております。 私どもは今後とも、様々な問題を真剣に取材し、不透明なものを追及して、日本人が、成熟した日本人として議論できる世の中を作るべく日々の放送にまい進してまいります。 今後ともよろしくご指導お願い申し上げます。 〜2008.5.2. 0:50pm〜 早速のご返信ありがとうございました。 〜2008.5.2. 6:22pm〜 大阪に住むどの程度の人間が大阪人気質をもっているかはよくわからないのでなんとも申し上げられないのですが、籔内さんがおっしゃる大阪人気質は変わっていないと思います。 ただ、他府県の方がよくおっしゃるのですが「大阪人はそでしょ」とか、「大阪の番組はそういうものだ」という決め付けに対しては、多少のアレルギーを感じております。 また、そういう気質が、行政などのあいまいさ不透明さを許してきたとすれば、そろそろ、脱皮してもいいのではないかとも感じます。 朝日放送 木戸 |
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