「いい箱ゆきですね」 | |||
池内克哉(いけうちかつや)/茶道具商、茶人 | |||
我国が世界に誇る文化の筆頭である茶道はあらゆる工芸品や歴史を取り込んだ類い希なる綜合芸術と云っても過言ではありません。 その中でも木との係りは言う迄も無く大変に深い物があります。私は茶道具を商い時々茶事を催して居りますが例えば茶を点てる際に用いる炭はと云えば元は木材であった訳で、薄暗い席中にてまばゆい光を照し我々の心を魅了します。 |
|||
|
|||
茶道具として表舞台に立つばかりではなく木は茶人達が尊ぶ掛物、茶碗、茶入等のあらゆる道具を保護する為にも箱と云う姿になって役立って居ります。桐、杉、樅(もみ)、鉄刀木(たがやさん)等で出来た箱にも材料を吟味し「いい箱ゆきですね」と云う言葉で云われる独特の美意識をも確立いたしました。 木造建築物とコンクリートで出来た建築物との一番の違いはコンクリートの建築物は出来上がった時が一番良い美しい状態であるのに対して木造建築は日増しに美しくなって来ると云われます。 木で出来た茶道具も同じ事が云えるので先人達が大切に慈しんで来た箱からは茶人の愛情や霊気さえも感じられます。日増しに美しくなる茶道具を大切に後世に伝える事が我々茶道具商の使命かと存じます。 |
|||
|
|||
池内克哉(いけうちかつや) 茶道具商「池内美術」主人、茶人
|
|||
皆様からのご意見を「MAIL」からお待ちしております。
|
|||
|
|||
|
|||
|