森林と環境問題 | |||
中本利夫/株式会社ウッドワン名誉会長 |
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1988年、最後の宮大工といわれた西岡常一先生に、弊社のPR誌の第一号を飾るため、法隆寺の五重塔の下で対談をお願いしたことがあります。そのときに、この塔に使われているヒノキの樹齢が何年生くらいかをお聞きしたところ、辺材(白太)が削られているので正確な年数はわからないが、千年を超えていることは間違いないということでした。 建立されてから千三百年を超え、世界最古の木造建築であることは歴史的事実ですが、当時の輸送能力からみたときに、四国や九州から運んできたとは考えにくく、当時あの飛鳥の里に、千年を超えるヒノキの木があったものと想像されます。 |
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五重塔は、伐られるまで千年有余にわたって空気中の炭素を吸収してきた木材が、建立された後も千三百年有余、大気中に発散させずに体に閉じ込め続け、延べ二千数百年にもわたって自然環境に貢献している尊い姿なのです。 奈良を訪問したときには、宗教的な面だけでなく、この尊い姿に手を合せるために、五重塔には必ず参拝するようにしています。 一方、文明の発達とともに、鉄、銅、アルミ、ニッケル等多くの地下資源が掘り出されてきましたが、これらはいずれも有限な資源です。しかも掘り出しただけでは何の役にも立たず、石油や石炭に代表される化石燃料によって精錬されなければなりませんが、そこで吐き出される煙は地球温暖化の一因にもなっているのです。 |
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中本利夫(なかもととしお) 株式会社ウッドワン名誉会長
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