日本人が住むべき場所 |
矢橋龍宜(やばしたつよし)/矢橋林業株式会社代表取締役社長 |
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私は新緑の木々の緑を、冬の木立を目にするなかに育ちました。そして、家は雨漏りがして隙間風が吹き抜けるような古い欅の大黒柱のある、土間の吹き抜けは小屋組みの見える家でした。家の外にも家の中にも季節があり、いやがおうにも自然を感じる事が出来る環境でした。
自然はどこにも有るのが当たり前の事で、その自然の中で人間の手仕事は当然の事でした。日本の山は産業として価値を失おうとしています。スーパーマーケットの野菜のように緑も木材もなり始めています。人間として、日本人としてもう一度住むべき場所を考え直さなければならないのではないかと思っています。
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吹抜
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いろり
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現代の生活は利便性、効率において急速に変化していきます。しかし、自然の中の一部である人間にとってはバランスが最も必要な事ではないかと考えています。日本人の大きな夢の一つである戸建住宅は多くの場合唯の不動産に過ぎず、現実その物であり、その中には本来の夢は叶えられる物ではなく、妥協に結論付けられているのが現実です
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牡丹園
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人が住むべき場所があると思っています。理想と現実との間には隔たりが大きくあると思いますが人が住むべき環境を創造していくという考え方が必要なのではないかと思っています。自宅の庭の木が季節ごとに変わり、成長していくことを実感することが出来ることは稀になってしまいましたが、我々はもう一度そのような環境を作り出す必要があるのだと確信しています。木の肌、手の仕事、目に映る緑と五感に訴えるような住環境を諦めてはいけないと思っています。
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茶庭
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また、バブルの時代からデフレの時代を経て、高いものはよい物のように思えた時代から、コストパフォーマンスにより安い事が最も重要な時代へと変わり、両極端な時代を経験すると、どちらも違っているように思えてなりません。今の日本人は買った物に何かしら意味が欲しいのではないでしょうか。物の品質、価格以外の持つべき意味が欲しいのだと思っています。そういう意味のある物を作らねばならないと思っています。その意味をどこに求めるのかが差別化であり、ものづくりの個性だと思うのです。
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豊かさとは何か?求めるべき質は何か?買う側にも、供給する側にも求めて学ばねばならない事がたくさん有るのではないかと考えています。
やはり人には住むべき場所があり、求めるべき暮らしがあると思っています。私はそれを供給したいと思っています。 |
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矢橋龍宜(やばしたつよし)
矢橋林業株式会社代表取締役社長
1961年 |
岐阜県大垣市に生まれる |
1984年 |
矢橋林業入社 |
1988年 |
矢橋林業株式会社代表取締役社長に就任 |
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現在、林業のほか住宅産業、木工芸、鉱山開発など多方面に事業を展開している。 |
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矢橋林業ウェブサイト |
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